Japanische Klassiker mit Furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme
「花田さんも、なかなか詩人ですね。血なまぐさい犯罪捜査の中にも、時には詩があるでしょうね。物の哀れもあるでしょうね」
「物の哀れはふんだんですよ。僕はどうも犯人の気持に同情するたちでしてね。わるいくせです。捜査活動に詩人的感情は大禁物です」
そして、ふたりは声を合せて笑ったものである。
そんなふうにして、事件から二カ月近くもたった頃、ある日、また花田が訪ねて来て、克彦をギョッとさせるような話をした。
「私立探偵の明智小五郎さん、ご存知でしょう。僕はもう六、七年も懇意にしているのですが、やっぱりいろいろ教えられるところがありますね。あの人のちょっとしたヒントから、捜査に成功した例も少なくありません。昔は、民間探偵なんかに智恵を借りに行くのは、大警視庁の名折れだといって、うるさかったものですが、この頃では、だいいち僕の方の安井捜査一課長が明智さんの親友ですからね。誰も悪くいうものはなくなりましたよ」
これは克彦にとって、全くの不意うちであった。わきの下から、冷たいものがタラタラと流れた。顔色も変ったかも知れない。
(しっかりしろ。こんなことで顔色を変えちゃ、折角の苦労が水の泡じゃないか。