Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきとてぶくろ

月と手袋

江戸川 乱歩

Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme

Aozora Bunko

抜くよりは入れるがむずかしい。首尾よくまいりましたら、ご喝采……」

またハンカチの下でモゾモゾやり、パッと手をあげたときには、最初の通り、両の手首がベルトで厳重にしばられていた。克彦とあけみは、また心にもない拍手をした。こわばった顔で、手先だけをうち合わせた。

「ハハハハハ、どうです。見事なもんでしょう。さア、これで手品はおしまい。夜も更けたようですから、おいとましますが、お別れにもう一杯」

花田はテーブルの上のグラスに手ずからジョニー・ウォーカーをついで、それを顔の前にささげながら、ヨロヨロとソファの方へやって来る。同じソファにかけられたら、あけみがふるえているのを悟られる。相手が来ぬ先に、克彦はサッと立ち上がって、自分もテーブルのグラスをとり、ウィスキーをつぎながら、

「さア、乾杯、乾杯!」

と叫んで、花田の前に立ちはだかり、杯をカチンと合わせた。グッとほして、お互の肩を叩き合う。

「あ、そうそう明智さんがね。あの日はどうしてあんなに月がさえていたのだろう。偶然の一致だろうか、それとも、と小首をかしげていましたっけ。ハハハハハ、じゃ、これでお開きといたしましょう」