Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきとてぶくろ

月と手袋

江戸川 乱歩

Lesen Sie 月と手袋 (つきとてぶくろ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.541 Zeichen · 80 Bildschirme

Aozora Bunko

トンとグラスをテーブルにおいて、そのまま廊下の外套掛けへ、泳ぐように歩いて行った。

ふたりは花田が帰ったあとで、ウィスキーを何杯もあおった。これ以上の心痛には耐えられなかったからだ。

酒の力を借りてグッスリ寝込んだ。しかし、長くはつづかなかった。真夜中にポッカリと目をさました。隣のあけみを見ると、青ざめた恐ろしい顔をして、目ばかり大きく見ひらいて、じっと天井を見つめていた。頬が痩せて病人のように見えた。克彦はいつもの勇気づけの言葉をかける気になれなかった。彼の方でも頭が一ぱいだった。

(明智という男は恐ろしいやつだ。恐ろしいやつだ)

そういう文句が、巨大な囁き声となって、彼の頭の中を駈けめぐっていた。

心理的攻撃はそれで終ったわけではない。それからの数日というもの、恐ろしい毒矢が矢つぎばやに、これでもかこれでもかと、ふたりの身辺に飛来した。

その翌日、あけみはうちにいたたまれなくて、渋谷の姉の家を訪問したが、夕方帰って来たときには、一層痩せおとろえて見えた。

彼女は二階にあがると、書斎にいた克彦の前を無言で通りすぎて、寝室にはいってしまった。克彦はそれを追って、寝室に行き、ベッドに腰かけて両手で顔を覆っている彼女の肩に手をおいた。