Japanische Klassiker mit Furigana
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
Lesen Sie 松林蝙也 (まつばやしへんや) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.092 Zeichen · 25 Bildschirme
――山根道雄だけは、頸をほとんど皮一重まで斬放されて絶命していた。
二人を南部藩の追手に引渡し、山根の死体の始末をして、蝙也が家へ帰ったのはすでに九時を廻った頃だった。――玄関には町が案じ顔で待受けていた。
「お帰り遊ばしませ」
「うむ、――洗足を取ってくれぬか」
「はい」
蝙也は式台に腰をかけて待った。――町はすぐに足盥を運んで来た。
「お洗い致しましょう」
「うん――」
頷いて足を入れようとしたが、蝙也は急に引込めて笑った。
「計ったな、――町、だが駄目だぞ、こんな熱い湯で蝙也をあっと云わせるつもりだろうが、そう旨くはゆかぬ」
「まあ――」
町は優しく、口惜しげに睨んだ。
「今夜こそ大丈夫と思いましたのに」
「段々考えるようだが、まだ俺に参ったと云わせるまでには間があるぞ。まあうめてくれ」
「――とても敵いませぬ」
町はすぐ引返し、手桶を提げて来て足盥へうめた。蝙也はざぶっと足を入れた、いや、実は爪先が入ったくらいであろう。そのとたんに、
「あっ※(感嘆符二つ、1-8-75)」
と叫んで痙攣るように両足を縮めた。
「や、やったな、町!」
「――――」
「参った、まさに参ったぞ」