Japanische Klassiker mit Furigana
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
Lesen Sie 松林蝙也 (まつばやしへんや) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.092 Zeichen · 25 Bildschirme
四
仙台の染屋町堤は近郷でも有名な螢の名所で、季節には遠近から見物の人が群集する、――その夜も堤は大変な人出で、うっかりしているとはぐれそうになる有様だった。
堤へ出た時、山根道雄が、
「お町どの、ちょっと」
と云って町を傍のほうへ誘った。
「先生に知れますから」
「この人混で知れるものですか、少しお話し申したいことがあるのです」
そう云って道雄は無理に町を暗いほうへ誘いだした。――人混みから少し離れると、こんもりと黒い灌木の茂みがある、道雄はその蔭へ入って町のほうへ振返った。
「お話って何でございますの」
「突然こんなことを云って吃驚なさるかも知れませんが、どうか落着いて聞いてください、お町どの、――実は、拙者と一緒に当地を立退いてはくださるまいか」
「ええ? 何とおっしゃいます」
「打明けて申しますが、拙者はとうからあなたを想っていました。先生の許へおいでになったあの日から、――」
道雄の様子は哀れなほど真剣だった、そして女の気持がどうあるかということを考える余裕もなく言葉を続けた。
四
「先生とあなたとの約束を聞いた時、拙者はどんなに嬉しかったか知れません、あれ以来寸刻も忘れ得ず先生の油断を狙いました。