Japanische Klassiker mit Furigana
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
Lesen Sie 松林蝙也 (まつばやしへんや) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.092 Zeichen · 25 Bildschirme
五
せっかくの興を妨げるようで失礼だが、これは拙者の娘分で町と申す者だ、見物の人波にはぐれたので捜しておったところ、――貴殿がたのお蔭で難なくみつけることができた、まことにかたじけのうござる」
「いや、それはその、あれでござる」
「はははは、まず螢の精などには充分お気をつけなされい」
蝙也は笑って町を促しつつ去った。
か弱い女を置いて逃去った道雄と、それだけの酔いどれにぐっとも云わせなかった蝙也と、比べて考えるまでもなく、町の心は妖しい力で蝙也のほうへぐんぐん惹付けられた。
「娘分などと云って、――怒られるかな?」
しばらく行ってから蝙也がいった。
「まあ許せ、娘分とでも云わぬ限り、あんな酔漢なにをごてるか分ったものでない、――不足かも知れぬが許しておけ」
五
「そんなこと……却ってわたくし」
「よいよい、怒らなければよいのだ、――ときにどうやら酔も醒めたが、この辺で螢を見ながら少し話でもするか」
「――はい」
蝙也は堤の端へつと腰を下した。
「おまえが来てからもう四十日余りになる、今日までつくづく話し合ったこともないが、そろそろ打解けてくれてもよい頃ではないか」
「どう致したらよろしゅうございましょう」