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Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

中尉殿」

彼はじっと高城を見据えながら、今朝のことを考えつづけていた。隊長の半白の頭を見おろして立っていた時、彼は不意に悲哀の感じが瞬間であったが胸一ぱいになっていたのである。あの気持は何だろう。隊長を気の毒に思ったのではない。彼はゆっくりした口調で高城に話しかけた。

「今朝隊長から花田を殺せと言われた。誰か下士官をつれて行けと言うので、お前をつれて来た」

今朝、医務室で待っているとき、高城は室の外で兵隊を殴っていた。昨夜の彼の報告ぶりは変によそよそしく冷たかったが、あれは心の中でどんなことを考えていたのだろう。稚い正義観でそれがあるとするならば――しかし彼は高城の若々しい頬や色艶の良い腕首を眺め廻した。高城の澄んだ瞳がじっと彼の言葉を待っている。彼はかさぶたを一気に剥ぐような苛烈な快よさを感じながら、一言ずつ力をこめて言った。

「おれはこれきり、原隊に帰らないつもりだ。――花田にあうかあわないか判らん。おれは東海岸に行く」

「中尉殿」さえぎるように高城は叫んだ。顔が見る見る赤くなって来た。「中尉殿。それはいけません」

宇治はその叫びを冷たく黙殺しながら、岩角に身体をもっと押しつけるようにした。