Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
何だか乗りたくない気がする」
「ケーブルが切れて墜ちることかね?」
五郎は言った。
「君には覚悟が出来てたんじゃなかったのか。いつでも死ねるという――」
「そ、そりゃ出来てますよ」
丹尾は憤然と言った。自尊心を傷つけられたらしく、顔に赤みがさした。
「じゃケーブルに乗りましょう」
ケーブルカーに乗り込む時、丹尾はたしかに力んでいた。必要以上に肩や手に力を入れ、トランクを抱いたまま、眼をつむっている。ケーブルカーの下の土地には、もう緑は見えず、一面茶褐色の岩や石だけである。
終点についた。丹尾は全身から力を抜き、彼といっしょに降りた。火口はすぐである。火口壁の近くに立った時、さすがに五郎も足がすくんだ。
火口壁はほとんど垂直に、あるいは急斜面になっていた。色は茶褐、緑青、黄土などが、微妙に混り合い、深く火口に達している。眼がくるめくほどの高さだ。風がないので、白い煙やガスがまっすぐに立ち昇っている。たぎり立つ熱泥が見える。眺めていると、体ごと引込まれそうだ。丹尾はひとりごとのように言った。
「自殺者にはあつらえ向きの場所だ」
五郎は黙っていた。
〈なぜこの男は、おれと自殺とを結びつけようとするのだろう〉