Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
突然体の底から、笑いがこみ上げて来た。
「君は自分の生命を賭けようとするのか?」
「笑ってるね」
丹尾はふしぎそうに彼の顔を見た。
「あんたと知合ってから、声を立てて笑うのは、これが初めてだよ」
五郎は笑いやめた。しかし笑いは次々湧いて、彼の下腹を痙攣させた。
「しかし――」
彼は下腹を押えながら言った。
「賭けが成立するかなあ。君が死ぬ方におれが賭けるとする。すると君は飛び込まないで、戻って来るだろう」
「じゃ生きる方に賭けちゃどうです?」
「それでいいのか。君が飛び込むとする。君は賭け金を取れないことになるな」
「ええ。だからぼくが両賭け金を預って、出かける。ぼくが飛び込めば、賭け金も飛び込んで、パアとなる」
「なるほど」
なぜ丹尾がそんな賭けを提案したのか、彼にはよく判らなかった。わけを聞きたい気持も、別段なかった。ただなにものかが彼から離れ、丹尾に飛び移ったらしい。しかしそのことが笑いの原因ではない。笑いは笑いとして、独立に発生した。丹尾は言葉を継いだ。
「もしぼくが戻って来れば、賭け金の全部をあんたに差上げる」
彼は頬杖をつき、すこし考えて言った。
「賭けの金額は、いくらだね?」