Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
「気にするな」と甲斐は微笑した、「おれは大丈夫だ」
「お出かけのときにはお供の人増しをなさらなければいけません、大切なおからだだということを、どうかお忘れにならないで下さい」
「そうしよう」と甲斐は頷いた、「今日は御苦労だった」
政右衛門はぶすっとした顔で去った。
風呂をあびてから、甲斐はまた酒を命じて坐った。今日でまる三日、殆んど盃を手からはなさない。酒の量は多くはないが、夜半にも起きて酒を命ずるというふうで、いつもの甲斐とはようすが変っているため、おくみの不安は強くなるばかりであった。
「そう飲んでばかりいらしっては毒ですわ」とおくみは云った、「新八さんとみやさんが来ていますから、御膳をめしあがったあとで、あの人たちとお酒になさるほうがようございましょう」
「飯は欲しくない」
「なにかあったんですか」おくみは声を低くした、「今日はどこへいらしったんですか」
「新八はなんの用で来た」
「どこへいらしったかも、うかがえないんでしょうか」
「わかっている筈だ」甲斐の口ぶりは意外なほど強かったが、すぐに調子をやわらげて、なだめるように云った、「話していいことはいつも話している、おまえもまさか、話せないことまで話せというのではあるまい、――新八はなんの用で来たんだ」