Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
籃中の魚
――それはまだ確たるとりきめではございませんでしょう。
「立花家はまずよい、先の好雪どの(飛騨守忠茂)の奥が故忠宗の女で、つまり当代の左近将監には実母に当るからだ、それにしても二十万石は多すぎるし、白石への十万石はまったくむだだ、これは東市正にふりむけるつもりである」
――もちろん御意見しだいでございましょう。
「もしここで甲斐をひきいれれば、事成ったときに相当の加増をしなければなるまい、そんな代償を払ってまで、彼を味方につける必要はない、その話しは無用だ」
――もちろん御意しだいでございます。
「津田玄蕃に使いをやれ」
――はあ。
「明日、麻布の下屋敷へ来るように、おれは今日これから権太夫を伴れてゆくが、隼人も明日まいるがいい、麻布で手ぬかりのないようよく相談をしよう」
――承知つかまつりました。
籃中の魚
「こんどはお父さまの名前ね」とかよは云った、「――や、そ、し、ま、か、ず、え」
一字ずつ、口で云いながら、かなり巧みな手つきで、半紙の上に仮名文字を書いた。
「こうでしょ」
「読み直してごらん」と甲斐が云った、「どれか一つ字が違っていやあしないか」
かよはおちょぼ口をひき緊め、大きな眼をみはって、一字一字、拾い読みをした。