Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
千本杉
――おそれながら。
「しかと申付けたぞ、よし」
――金兵衛め、ふるえておりましたな。
「彼は愚かだが真正直なやつだ」
――役に立つとおぼしめしますか。
「わからぬ、が、すでに万治の例がある、彼と渡辺七兵衛とは、機会さえあれば役に立つだろう、長沼玄叔の件は申し渡したな」
――相違なく計らいました。
「話しは済んだ、祝いの酒を続けよう」
千本杉
甲斐は手を膝に置いたまま、放心したように坐っていた。
ここは青葉城本丸御殿の、紅葉の間であった。広さは十六帖、西に面して板敷の押廻しがあり、妻戸も遣戸もあけてあるので、小砂利を敷いた広場が、矢狭間のある白い土塀まで、初秋の午後の陽をあびて、眼にしみるほど明るく見えていた。――土塀の先は石垣で、土地が低くなっており、そこに時を告げる鼓楼があるのだが、ここからは見えなかった。その紅葉の間の右隣りは首実検の間であり、左側になっていた。
正座に二人、国老の柴田外記と原田甲斐が坐り、脇に三人、宿老の富塚内蔵允、茂庭主水、遠藤又七郎がいた。そして、宿老らの次に評定役の津田玄蕃、そのうしろに書役が三人、机を並べて、評議のしだいを記録していた。