Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
で寝たこともあります、面白がって殿さまに抱きつく者だっていました、けれども殿さまはやさしく笑って、わたしたちの好きなようにさせていらっしゃる、突き放しもなさらねえだし、そうかって御自分から抱いたり撫でたりするような、いやらしいまねはこれっぱかりもなさらねえです、お客さんは御存じねえです、うちの殿さまはそういうお方ですよ」
「ばかなはなしだ」と七十郎は冷笑した、「女といっしょに寝たら、しぜんにそうなってこそ男というものだ、それをそうならないのは男でもなし人間でもありゃあしない、あの男は退屈なだけだ」
「久兵衛も同じようなことを云ってましたっけよ」
「久兵衛だって」
「わたしのことを追い廻してた男です」とふじこが云った、「夫婦約束がしてあったのに、殿さまと怪しいなんて疑って、しまいには鉄砲を持って、殿さまのことを跟け覘う始末でした」
「しんけんだったんだな」
「白痴なだけです」
「ふじこのことをしんけんに想いつめていたんだ」と七十郎が云った、「男が女に惚れたら、白痴になるほど惚れるがいい、そのほうがよっぽど男らしいし、人間らしいというものだ」
「白痴はまっぴらですよ」