Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
采女も同様であった。――彼もまた夢でも見ているように、茫然と立っていて、それから、七十郎が六人がかりで押えられたとき、初めて、なにが起こったか、ということを、おぼろげに感じとった。
「なにをする」と采女は絶叫した、「おのれ、なにをする」
「お家のためです」と鷺坂靱負が叫び返した、「北村(伊東七十郎)さまの御思案は、お家を亡ぼし、こなたさまのお命をもちぢめるものです、どうか心をおしずめ下さい」
「放せ、叔父上を放せ」と采女が絶叫した、「館主はおれだ、おれの申付けに反く者は手打にするぞ、放せ」
そして采女は刀を抜いた。
脇にいた家従たちがばらばらととび退き、靱負が、采女さま、と叫んだ。そのとき、七十郎が、よせ、と采女に云った。
「よせ、もうだめだ」
七十郎は周囲を眺めまわし、ひきつるように顔を歪めながら、力なく首を振った。
「家の子にまで反かれては望みはない、残念だがこれまでだ」
「しかし叔父上」
「これまでだ、運がなかったのだ、諦めよう采女」
「おゆるし下さい」と靱負が泣きながら云った、「お家のためです、すべてお家のためです、どうか御容赦を願います」
「もういい、わかった」