Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.078 Zeichen · 285 Bildschirme
「あたしはまたこの子が」とおくみが声をひそめた、「よそのお子たちとは違って、お父さまといっしょに暮せないために、人のきげんをとることばかり考えているのではないか、とも思われまして、――」
甲斐は黙って、かよの手から、赤い折鶴を取り、それにふっと息を吹き入れて、ふくらました。おくみは顔をそむけ、かよはうかがうように、父と母とを、交互に見やっていた。
「さあ、これを持って、ばあやと向うで遊んでおいで」と甲斐が云った、「たあたまは人に会わなければならないからね、あとでまた遊ぼう、なにをして遊ぶか考えておいておくれ」
かよはおとなしく膝からおり、ふくらんだ折鶴の羽根を摘んで持って、その部屋を出てゆき、自分で襖を閉めた。閉めた襖のすぐ向うで、乳母を呼ぶ、ばあ、という声がし、廊下を駆け去ってゆく足音が聞えた。
「そんなふうに思うことはよくないな」と甲斐が云った、「母親がいつもそんなふうに思っていると、子供にもすぐ通じるものだ、この子は不憫だと思うのは親だけのぐちで、たいてい不幸な境遇にいても、子供は親の思うほどには感じはしない、それはおまえ自身の、小さいじぶんのことを思いだしてみればわかる」