Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
とおみやは云った、「ちょっと坐って、新さん、あたしあんたに話さなければならないわ」
「たくさんだ」と新八は首を振った。
「坐ってちょうだい、あたしあんたを騙したおぼえもないし、あんたにけがらわしいなんて云われるおぼえもないことよ」
新八は「それじゃあ」と吃りながら云った、「あの浄妙院はいったいなんだ」
「浄妙院がどうしたの」とおみやが訊き返した。
新八は口ごもった。
浄妙院がどうした、というおみやの反問は、あまりに平静で、いささかの恥も、うしろめたさもなかった。
「浄妙院のことはあんたに云ってある筈よ」とおみやは云った。
「いや、ちがう」
「なにがちがうの」
「貴女は、おこもりにゆくのだと云った、お父上の遺骨を預けたから、供養のために、ときどきおこもりにゆくのだと云った」
「まあ、新さん」
「私はそう信じていた」
「まあ聞いてちょうだい」
「けれども嘘だった、私はゆうべ浄妙院へいって、寺男にすっかり聞いたんだ」
「なぜそんなことをしたの」
「お父上の遺骨が納戸の中にあったからだ」と新八は云った、「お父上の俗名と戒名の付いた遺骨の壺が、隠しもせずに置いてあった、おこもりというのは嘘だと、私の感づいたのがむりか」