Japanische Klassiker mit Furigana
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「ちんもく」のはなし
「沈黙」の話
豊島 与志雄
Lesen Sie 「沈黙」の話 (「ちんもく」のはなし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.184 Zeichen · 13 Bildschirme
」は一種の神性を帯びている。生れて三年間、飲まず食わず、殊に一言も言葉を発せず、神秘な生存を続けて、そしてその三年の終りに、世の変異を予言して死ぬ。形が人頭牛身であるところから、漢字に綴っては件となし、未来に対する予言が必定なところから、世俗もこれにならって、証文などに「依如件」と書くのである。
「くだん」がもし始終饒舌っていたら、その予言の価値は認められずに終るだろう。が幸にも彼は、三年間の一生にただ一度口を利くのみである。それ故にこそ、予言は必定な真実となる。沈黙の効果も偉大なりと云わねばなるまい。
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某君がひどく貧乏していた時のことであるが、貧乏は単なる外的現象として気にもかけず、美衣美食、派手な行動、なお方々に借金をこさえて、洒然泰然と納まり返っていたものである。そこへ、ぽつぽつ、借金支払の催促がくる。それを、某君は一々座敷へ通して引見する。
全くそれは一の引見である。債権者の方では、上座に控えてる彼に対して、初めは丁寧に、それから縷々として、支払が余り延びてることや、自分の方の迷惑な事情や、または自分の立場の困ることなどを、真偽とりまぜて述べ立てる。