Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme

Aozora Bunko

夏になると、枇杷も熟する。梅が漬け頃になる。鮒酢も漬けなければならない。秋になると、茗荷の芽も出る。栗も弾ける。柿も色づく。やがて公孫樹が夥しい銀杏を落し初める。その頃になると、屋敷の中は落葉で埋められてしまう。母は言う。

「わしがいなんだら、誰が、一体、これを始末してくれるのやいな」

私は初め実子を持たぬ妻のために、妻の職業を認めているような口吻を洩したこともある。しかし妻の収入がなかったら、私達の生活は忽ち破壊されてしまう。が、こういう場合、妻のてきぱきした性格が、大いに役立つ。妻は自ら一手に引き受け、辛うじて遣り繰っているらしい。

しかし、私達の家は全く言語道断である。門は破れ、屋根は傾き、雨は容赦なく漏れ、文字通りの荒屋である。しかし私はそういうことには割合平気な性格である。人倫の嘲笑には馴れ過ぎているからかも知れない。しかし妻は私のような横着者ではない。口には言わないが、かなり辛いことであるだろう。

長男が卒業する。助手として、研究室に残ることになる。三男はあまり学業を好まない。放送関係の仕事をすることになる。私は妻を誘って、蔵王山麓の妻の生家を度度訪れる。