Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Lesen Sie 澪標・落日の光景 (みおつくし) von 外村 繁 (とのむらしげる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.889 Zeichen · 268 Bildschirme

Aozora Bunko

私は立ち上って、一升瓶を提げてきて、コップに注いで飲んだ。続けて二杯三杯と飲んだ。

不意に、思いも寄らぬ、ある想念が湧き起った。思いも寄らぬ――とは、それも嘘かも知れない。それはその時から潜在意識となって、頭の中に潜んでいたのだ。ただ、あの時の睡魔が、それを意識の外に深く包んでいたのかも知れない。

それは、妻は自殺を図ったのではなかろうか、ということである。私はそれを知っていて、知らぬふりを装っているのではないか。

あのとき、私は妻の床に炬燵を入れ、再び子供の蒲団の中に潜り込んだ。妻はどうやら静かになったようであった。やがて浅い眠りがやって来る。私と眠りとの、あの快い戯れは、次第に深間に落ちて行く。妻の低い呻き声が聞こえているようであった。睡魔――しかも私はいかにもそのようなものに魅せられて行くような快さの中にいた。どれほどの時間が経ったか。

「痛い、痛い、痛いよう」

突然、泣き叫ぶような妻の声を聞いたように思った。続いて、激しく額を叩く音。いけないっと思った。しかしそのまま私が眠ってしまったのか、それとも、そのとき妻の意識が失われてしまったのか、その後には、なんの物音も覚えなかったのである。