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Japanische Klassiker mit Furigana

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おぎふくうた

犀星王朝小品集

室生 犀星

Lesen Sie 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.794 Zeichen · 211 Bildschirme

Aozora Bunko

その心づかいはかつての日の橘のあでやかな俤をしのぶ好箇のよすがでもあった。津の父も、和泉の父も、狩衣、袴、烏帽子、弓、胡、太刀などをその棺に入れ、橘の姫の美しさに添うようにした。かくて、かれらのねむりを妨げる者は、誰一人とてなかった。

歳月を経て或る旅人はこう書いて、もう、そろそろ苔の生えかかったみたりの墓のうえに、紙も、白じらと秋かぜの吹く日に置いて行った。

束の間ももろともにとぞ契りたる

逢ふとは人に見えぬものから

また歳と月とがいみじくも流れ去った。或る日、一人の旅人は一首の棄歌をしるし、紙に礫をのせ風にも立たぬようにして行った。前書には、「一人の男になりて」と書き、男のどちらかの心をいたわり、また、旅人みずからの心の傷手をうたうがような調べも含まれてあった。

同じ江に住むはうれしきなかなれど

など我とのみ契らざりける

歳月は墓石に白い百年の苔をきざみ込んだ後の年、時はあたかも駘蕩の春の半ばだった。女にかわりて、その心をのべしるした歌を一首、蓮華台のすき間の苔のあいだにさし込んで、風のごとく去って行った旅人があった。

住みわびぬわが身投げてむ津のくにの