Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
数十匹も蠢めいていた。
いやらしい気味の悪い光景なのではあるが、その前に坐って眺めている菊女が、色白の細面、高い鼻の切れ長の眼、いかにも上品で美しい上に、着ている衣裳が水玉模様の単衣、清楚でしかも艶かしいので、いやらしい光景が緩和されて見えた。
「お兄様」と菊女は云った。「何をむずかしいお顔をして、考えておいでなされます」
「さあ」
と兵庫は微笑したが、
「うしろ斬りのあの難剣を、よくもあの時遁がれたものと、それについて考えているのでござる」
「入谷田圃でお逢いなされたという、浪人者のことでございますのね。……その男の使った難剣のこと?」
「さようさようその難剣でござる。……あの瞬間石につまずいて、自分から地上へ仆れたため、遁がれることが出来たものと、今にして思えば思われるものの、あの時はてっきり肩をやられたと、そう思って覚悟しましたっけ」
「その浪人何者でござりましょう」
「それについて今日まで探りましたが……」
「お解りになりまして?」
「解りませぬ」
ここで二人は沈黙した。
狭い裏庭の植え込みの楓へ、どこかから逃げて来たらしい、金糸鳥が留まって啼いていた。