Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
で、思わず膝を寄せ、
「まあまあ助けをお呼びなされた。妾のようなこんなものへ! ハイハイお助けいたしますとも! ……夢の中ばかりでなく現の世でもねえ」
萩丸の肩を抱こうとした。
と、廊下に足音がし、襖の外で咳く声がし、
「菊女殿、開けまする」
と、四辺を憚った声がした。
菊女はあわてて膝を退け、
「どうぞおはいりくださりませ」
と云った。
はいって来たのは供人にやつした、同志の足洗主膳であった。
「菊女殿、ちょっと戸外へ」
「戸外へ? ……では……どなたかが?」
「鵜の丸殿が……で、ちょっと」
「はい」
と菊女は立ち上がった。
「菊女、いけないよ、行ってはいけないよ」
萩丸はあわてて菊女の袖を、両方の手でしっかりと握り、悲しそうな眼で菊女を見上げた。
「まア萩丸様、大丈夫。……妾どこへも行きはしませぬ。……すぐに帰って参ります。……ですからあなた様はここで穏しく……」
「そう」
と萩丸は手をはなした。
「わしを置いて行くんじゃアないね」
「なんのなんのあなた様を、そんなに可愛らしいあなた様を、後に残してどこへ行きましょう」
「すぐに帰ってくるんだねえ」
「すぐに帰って参りますとも」