Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

「…………」

「と、いうことになりますのよ」

「なるほど」

「いかが?」

「ハッハッハッ」

「女の口からこうあからさまに、心うちあけ口説きかけましたに、あっさり笑って外されては、どうにも妾としては胸のしこりが……お厭かそれとも応でござんすか? ……おっしゃるまではこの杯も、抑えた指も放しはしませぬ。……民弥様、さあいかが?」

年は上なり手練者なり、浮世の表裏人情の機微に、厭というほど通じている梶子は、こう云うと執拗な眼ざしで、民弥の顔を怨ずるように見詰めた。

民弥は心が動揺した。

決して嫌いな女ではなく、むしろ好きな女であった。ただいかにも正体がわからず、それに段違いに凄くもあり、かつまた今の自分というものが、大事を持っている身の上だったので、そういう色恋にかかり合うことが、不可能でもあれば出来がたくもあった。で、今日まで梶子と一緒に、同じ部屋に寝泊まりして来たが、心は人形の胸にかくした、宥免状を取り返すこと――そればかりに熱中し、梶子の艶色や誘惑などには、心を動かそうともしなかった。

が、今夜は酔ってもいたし、このように指をからませ合って――すなわち肉体の一部と一部とを、接触してみれば木石でない彼は、動揺せざるを得なかった。