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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

だから実行しなければならない。梶子の面目がつぶれるからねえ。……そうでなくとも紀州家のご愛孫、萩丸様というようなお方が、こんなところに誘拐されているのを、幕府ご老中の隠密であるわたしが、見遁がして置くことは出来やアしない。ヨーシ、萩丸様をさがし出し、味方の陣へおつれしよう)

で母屋中をさがし廻った。

(萩丸様を守護している筈の、菊女とかいうあの女が、一人で先刻出て行った。ではおそらく萩丸様には、他の誰かの手に守られ、安全なところにいなければならない)

こう梶子には考えられた。

母屋の階下にはいなかった。

(もしや二階に)

とこう思い、梶子は二階へ駈け上がって行った。

二階には誰もいなかった。

二階などに悠暢に隠れているような、卑怯者は郷民にないかららしい。

梶子は失望して下りようとした。

と、部屋の一所に、鎧櫃らしい物が置いてあったが、その蓋が少しもち上がった。

(おや)

と梶子は眼を見張った。

が、すぐにその眼は笑い、梶子の足はそっちへ進んだ。

「萩丸様!」

と呼んで見た。

「菊女かえ」

と返辞が来て、櫃の蓋が半分ばかり開いた。

女装こそはしているが、見覚えのある萩丸の姿が、窓から射している月光に照らされ、ぼんやりと梶子の眼に見えた。