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Japanische Klassiker mit Furigana

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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

菊女は山門の方へ歩いていた。

いかに同志のためとはいえ、いかに兵庫の頼みとはいえ、色仕掛けで萩丸を誘惑することなど、彼女としては不本意なのであったが、のっぴきならぬ破目となって、今実行しているのであった。

菊女を追って行く萩丸の心は、狂人じみたものであった。

彼は紀州家の御曹子で、世間知らずの初心の若殿で、それに年も十八で、その上おく手で早熟ていなかった。で、これまでは女に対しては、ほとんど関心を持っていず、女からも関心を持たれなかった。その彼が美しい清らかの娘に、手を握られて笑いかけられたのである。

全くはじめての経験であり、奇蹟のような出来事であった。

で、ほとんど狂気じみた心で、ウカウカと追って行くのであった。

菊女はやがて山門を出た。

山門を出ると大通りで、商家がビッシリと並んでいる。

そこを菊女は歩いて行った。

と、急に振り返り、充分に媚を含ませて、萩丸の顔へ笑いかけ、それから露路へ駆け込んだ。

萩丸は全身一刹那、麻痺を感じたほどであった。

そうしてその次の瞬間には、家来のことなど打ち忘れ、見えなくなった菊女の後を追い、電光のように露路へ駈け込んだ。