Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

「年増で素晴らしい別嬪でしたよ」

「こっちを見ていたというのだな?」

「へい、さようでございます」

「お前たちが騒いだので逃げて行ったというのか?」

「へい、さようでございます」

「目付かりそうもない、うっちゃって置こう」

三十郎は洞内へ帰って来た。

「菊女がいない! さては逃げたな! ……探せ! ……追っかけろ!」

と三十郎は喚いた。

菊女は林の中を走っていた。

と、背後から人声がし、走って来るような足音がした。

(追手がかかった)

と感付いた。

で大藪の蔭へかくれた。

はたして三十郎の部下の者が、五、六人その前を駈け抜けて行った。

(もうあっちへは行かれない)

こう思って菊女は道を変えて走った。

と、行手に人声がし、こっちへ走って来るようであった。

そこで菊女は大藪の蔭へ、身をかくさなければならなくなった。

やはり三十郎の部下の者が、三、四人その前を走って行った。

至るところに三十郎の部下が、自分を捕えようと探しているように、菊女には思われてならなかった。

でも勇気を揮い起こして、用心しいしい走って行った。

しかし幾度も人声をきき、そうして幾度も人の姿を見、そのつど彼女は怯かされ、そうしてそのつど物の蔭へかくれ、歩みては容易にはかどらなかった。