Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
梶子の手腕
「何んとこのシケに女が一人で……」
「どれどれ」
と一同はそっちを見た。
なるほど一人の年増らしい女が、こっちへ足早に歩いて来ていた。
いうまでもなく梶子であった。
火の光が見えて人声がしている。何者か様子を見て来ましょう、あなたは隠れておいで遊ばせ。――こう民弥へ云って置いて、梶子一人で来たのであった。
近寄って見てその連中が、見覚えのある紀州藩士――そうと知って梶子は驚いた。
(どうしよう)
(かまうものか!)
梶子は焚火へ寄って行った。
「霜降様、お久しぶり」
「や、これは梶子様!」
霜降小平はしたたかに驚き、茫然としてそう云った。
――日本的の女隠密、老中松平伊豆守様の、呼吸のかかっている恐ろしい女、青塚郷を攻めた時には、自分たちに味方をしてくれたが、中頃になって敵方に附き、捕えた萩丸様を敵方に渡して、行衛不明になった女。――そういういろいろの履歴を持った梶子が、こんな時にこんな所へ、突然あらわれて来たのである。茫然とするのは当然であろう。
「おおこれは梶子様!」
と、小平は二度まで驚いて云って、
「何用ありましてこのようなところへ、何用ありましてあなた様には?」