Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
討つか?
と刀ひっこ抜き、これも上段にふり冠り、迎えるようにジリジリと進んだ。
と、この時洞の中から、
「松浦氏助太刀仕るぞ!」
と、声をかけながら二人の武士が、勇躍して走り出して来た。
鵜の丸兵庫と五十嵐右内とであった。
この時まで洞内の物陰で、洞口の様子を見ていたところ、こういうありさまとなったので、さてこそ走り出して来たのであった。
「おお鵜の丸氏と五十嵐氏!」
と、驚喜して叫んだは松浦民弥。
梶子も驚きかつ喜び、
「おおおお、お二人にはよくご無事で!」
と、思わずそっちへ走り寄った。
次々に起こった意外の出来事に、茫然としていた菊女さえ、この時飛び上がり走り寄り、思わず兵庫へ縋りついた。
「兵庫様! 兵庫様!」
云うばかりで後は涙であった。
愛し合っている二人であり、共住みさえした二人であった。それがこの旅へ出て以来、時々顔は合わせたが、それはほんの瞬間で、後はいつも離れ離れ、しかも千辛万苦して、生死にかかわるような事件ばかりに、それからそれと遭遇した。こんな状態であろうものなら、けっきょくは生きて平和の裡に、長く逢うような幸福には、会えないものと思っていたところ、今こうして会えたのである。