Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme

Aozora Bunko

(是非ともあの娘に逢いたいものだ)

その後一度も顔を見せない彼女が、彼には物足りなくてならなかった。

(もうこの屋敷にはいないのかしら?)

今も萩丸はそのことを考え、ぼんやりと坐っているのであった。

何んの装飾もない部屋であった。

それに雨戸がとざされているので、――昼も終日とざされているので、黴くさく湿けていた。

行燈の光が薄黄色く弱く、四辺を幽かに明るめてい、それに照らされた萩丸の顔は、さすがにやつれて痛々しく見えた。

と、隣室で足音がした。

(誰か来たな)

と萩丸は思った。

(茶でも淹れて来たのだろう)

三度の食事、朝晩の茶、そういうものには萩丸は、ここでは充分恵まれていた。

というのは義党の人々にとって萩丸は大事の人質であった。で、充分に飲食させ、健康を保たせる必要があった。そこで飲み物や食物については、不自由させなかったからである。

襖をあけてはいって来たのは、一切飲食の世話をしている、いつもの老爺でも老婆でもなく、一、二度ここで顔見知りの、松浦民弥という武士だったので、萩丸は不快そうに横を向いてしまった。

そう、民弥は他の同志と同じく、萩丸をして宥免状を書かせようと、一、二度この部屋へやって来て、それを萩丸へ強いたことがあって、二人はとうに知己なのであった。