Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
にしたのであった。
だからこの部屋の隣り部屋には、それら虫を入れた箱や瓶が、うず高いまでに積まれてあり、その間に松浦民弥がいて、それらの虫類を秘密の穴から、次々にこの部屋へ送り入れている。――さよう、送り入れているのであった。
萩丸の苦痛と恐怖とは、ほとんど彼を気絶させようとした。
彼は部屋の中を駈け歩いた。
走っても走っても走る方へ、蚤と蜈蚣と蜥蜴と蛾と、さらにそれからも送り込まれた、蛇と蜘蛛と蝶の群は、後を追い飛びかかり、纒いつき、搦みつき、食いつ刺しつ締めつした。
「助けてくれ――ッ」
と萩丸は叫んだ。
まだ十八歳の少年であり、これまでほとんど恐ろしいことなど、経験したことなど一度もない、紀州家の御曹司の彼だった。
助けを呼ぶのは当然だろう。
もっともこれが戦場などで、大勢の敵に取り捲かれたと、そういうことであったならば、まさかに助けを呼ばなかったであろうが、相手はいやらしい虫類であった。隣り部屋には人がいるらしかった。
そこで助けを呼んだのである。
隣り部屋から民弥の声がした。
「お助けいたすでござりましょうが、その代り我々がお願いいたした、例の同志の宥免状、萩丸殿にはお書きくださるか!」