Japanische Klassiker mit Furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Lesen Sie 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.496 Zeichen · 368 Bildschirme
と、とうとう姉小路卿はそう云った。
「あなたに送っていただきましょうよ」
「とうとうご納得あそばしたそうな」
梶子は満足して嬉しそうに云った。
「わたくしお送りいたしましょうとも。……で、その人形はただ今どこに?」
「民弥の部屋にありますじゃ」
「では民弥様のお部屋へ参って。……」
「ところが民弥は留守でしてな」
「留守?」
「さっき方出かけましたよ。……友達に逢うとか云いましてな」
「…………」
梶子は少なからず失望した。
その人と逢いたいばっかりに、ここへやって来た彼女だったので。
が、留守のものは仕方がなかった。
「それではお人形はわたしの屋敷へ、すぐにこれからどなたかに担わせ……」
「よろしゅうござる、運ばせましょう」
間もなく梶子と人形箱とを担いだ、二人ばかりの人間が、周防守様のお屋敷を出た。
覆面をした一人の武士に、後をつけられているともしらず、松浦民弥は鵜の丸兵庫の、本所割下水の住居の方へ、心せきながら歩みを運んだ。曇天ではあったが雲切れがして、時々星が光をこぼした。
やがて兵庫の住居まで来た。
と、つけて来た武士であったが、民弥がその家へはいるのを見ると、ひそかに身を返し露路を巡り、裏庭の方へ歩いて行った。