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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

また、母も、わたくしが年頃になり、売物として花を飾らなければならない必要から、乞食の子呼ばりは気にも出さなくなりました。わたくし自身も何を取得に秘れた素性のことなぞ自分で強いて掘り起しましょうぞ。そんな懸念は永遠に無くなったと思っていました。

だが、いままた、わたくしの酔うた夢を醒すかのように浅ましい声が聞える。

「焼いたお薯、食べませんか。おいしいですよ。お嬢さん」

わたくしは立竦みます。どうしたらいゝでしょう。だが気を静めて聞き澄すと、その声は極めて自然であり、何の底意もあるらしくないのを発見いたします。たゞ年長者が年少者に対する一つの義務とも感じてそう言うのじゃないかと思うほど好意が本能に従っている、譬えば親鳥が地声に持つ、その太暖かい響がありました。

「汚なくありませんよ。お嬢さん。箸で挟んで火に出し入れして、そして私の手はちっともつけないんだから」

とまれ、わたくしは屹と身構えして、老人の方へ歩み寄って行くのでした。

出鱈目な服装はしているが、それほど汚くはない。手も顔も小さくて、茸のように肌理がこまかく脆そうな老人であります。僅かばかりの正直とか好意以外には人間の精力を盛り切れない姿形であります。