Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うまれいずるなやみ

生まれいずる悩み

有島 武郎

Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

農場の男も、その男にふさわしく肥って大きな内儀さんも、普通な背たけにしか見えないほどその客という男は大きかった。言葉どおりの巨人だ。頭からすっぽりと頭巾のついた黒っぽい外套を着て、雪まみれになって、口から白い息をむらむらと吐き出すその姿は、実際人間という感じを起こさせないほどだった。子供までがおびえた目つきをして内儀さんのひざの上に丸まりながら、その男をうろんらしく見詰めていた。

君ではなかったなと思うと僕は期待に裏切られた失望のために、いらいらしかけていた神経のもどかしい感じがさらにつのるのを覚えた。

「さ、ま、ずっとこっちにお上がりなすって」

農場の男は僕の客だというのでできるだけ丁寧にこういって、囲炉裏のそばの煎餅蒲団を裏返した。

その男はちょっと頭で挨拶して囲炉裏の座にはいって来たが、天井の高いだだっ広い台所にともされた五分心のランプと、ちょろちょろと燃える木節の囲炉裏火とは、黒い大きな塊的とよりこの男を照らさなかった。男がぐっしょり湿った兵隊の古長靴を脱ぐのを待って、私は黙ったまま案内に立った。今はもう、この男によって、むだな時間がつぶされないように、いやな気分にさせられないようにと心ひそかに願いながら。