Japanische Klassiker mit Furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Lesen Sie 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.587 Zeichen · 100 Bildschirme
筋肉質な君の顔は、どこからどこまで引き締まっていたが、輪郭の正しい目鼻立ちの隈々には、心の中からわいて出る寛大な微笑の影が、自然に漂っていて、脂肪気のない君の容貌をも暖かく見せていた。「なんという無類な完全な若者だろう。」私は心の中でこう感嘆した。恋人を紹介する男は、深い猜疑の目で恋人の心を見守らずにはいられまい。君の与えるすばらしい男らしい印象はそんな事まで私に思わせた。
「吹雪いてひどかったろう」
「なんの。……温くって温くって汗がはあえらく出ました。けんど道がわかんねえで困ってると、しあわせよく水車番に会ったからすぐ知れました。あれは親身な人だっけ」
君の素直な心はすぐ人の心に触れると見える。あの水車番というのは実際このへんで珍しく心持ちのいい男だ。君は手ぬぐいを腰から抜いて湯げが立たんばかりに汗になった顔を幾度も押しぬぐった。
夜食の膳が運ばれた。「もう我慢がなんねえ」と言って、君は今まで堅くしていたひざをくずしてあぐらをかいた。「きちょうめんにすわることなんぞははあねえもんだから。」二人は子供どうしのような楽しい心で膳に向かった。君の大食は愉快に私を驚かした。