Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばんちょうさらやしき

番町皿屋敷

岡本 綺堂

Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

喧嘩の相手ならば誰彼れを択びませぬが、縁談とあっては私も相当の分別をせねばなりませぬ」

「それも道理じゃ。今すぐにともいわれまい。よく分別した上で、あらためて返事を聞かしてくりゃれ。よいか」

「は」

お菊はほっとして、崩れるようにずるずるとそこへ小膝を突いた。そのはずみに倚りかかっている襖がみりみりと揺れたので、彼女は這うようにそっとそこを逃げ出して、自分の部屋へあわてて転げ込むと、気味の悪い汗が頸筋から腋の下に湧き出しているのに初めて気がついた。

座敷の対話を終りまで聞き通さなかったのは残念であったが、播磨の返事でその成行きも大抵は推量された。伯母様から持出された縁談も今日はこのままでうやむやの中に済んでしまったらしい。しかしお菊は決して落着いてはいられなかった。小石川の伯母様が主人に妻帯を勧めるのは今日に始まったことではない。先月も一度その話のあったことをお菊は薄々知っていた。それがだんだんに切迫して来て、伯母様は今日もわざわざその相談のために早朝から出向いたらしい。何をいうにも相手が悪いので、主人はそれをきっぱりと断わることが出来るであろうか。