Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme
彼は腹を立てるよりも、ただ驚いて怪しんだ。
「さりとて菊めも気が狂うたとも思われぬ。これには何か仔細があろう。わしが直々に吟味する。そちはしばらく遠慮いたせ」
十太夫は又追いやられた。割れた皿はもう井の底に沈んでしまった。今度は皿を割った女と主人との差向いである。それでも播磨はやわらかに詮議した。
「これ、菊。そちは何と心得て、わざと大切の皿を割った。家の掟で、その皿を割れば手討になる。それを知りつつ自分の手でわざと打割ったには仔細があろう。つつまずいえ」
「この上は何をお隠し申しましょう。由ないわたくしの疑いから……」
「疑い……とは何の疑いだ」
「殿様のお心を疑いまして……」
いいかけてお菊は今更のように身をわななかせた。播磨は眼を据えて聴いていた。
「この間もお耳に入れました通り、小石川の伯母御様の御なこうどで、飯田町の御屋敷から奥様がお輿入れになりそうな。明けても暮れてもそればっかりが胸につかえて……。恐れながら殿様のお心を試そうとて……」
「うむ。さてはこの播磨がそちを唯いっ時の花と眺めておるか。但しはいつまでも見捨てぬ心か。その本心を探ろうために、わざと家の宝を打割って、宝が大事か、そちが大事か、播磨が性根をたしかに見届けようと致したか。