Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Lesen Sie 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.494 Zeichen · 67 Bildschirme
彼は十太夫にいい付けて、自分の砕いた幾枚の皿も皆な井戸へ投げ込ませた。青山の家重代の宝も、播磨が一生の恋も、すべてこの井戸の深い底に葬られてしまった。
暮六つの鐘がひびいた。
「御客人はなぜ遅い」
播磨は座敷へ帰って眉を寄せた。十太夫も不安に思って門前まで見に出ると、門番の与次兵衛は彼に囁いた。自分が確かに見たのではないが、そこらで白柄組と町奴との喧嘩があるとかいう噂である。もしやそれが水野殿のひと群れではあるまいかとのことであった。聞き捨てにならないので、十太夫はすぐに奥へ引っ返して主人に報告すると、播磨は半分聞かないで起ち上った。
「よし。播磨がすぐに駈け付けて、憎い奴等を追い散らしてくれるわ」
彼は袴の股立ちを高く取った。なげしに掛けてある槍を卸すと、その黒い鞘は忽ち跳ね飛ばされて、氷のような長い穂先が燈火に冷たく晃った。それを掻い込んで播磨は大股に表口へ飛んで出ると、二人の奴も腕をまくりあげて主人のあとを慕って行った。
これから思うさま暴れ狂って、人間の五人、三人を槍玉にあげなければ気が済まないように思っていた播磨は、忽ちに失望させられた。彼は屋敷の門を出て、まだ一町と駈けてゆかないうちに向うから水野のひと群れが来るのに出逢った。