Japanische Klassiker mit Furigana
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とざんはぼうけんなり
登山は冒険なり
河東 碧梧桐
Lesen Sie 登山は冒険なり (とざんはぼうけんなり) von 河東 碧梧桐 (かわひがしへきごとう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.375 Zeichen · 9 Bildschirme
仕方なし、垂直な懸崖になった灌木林中にもぐり込んで、そこを横に渡らねばならない。まるで猿に退化した狂躁曲の乱戦乱舞を演じて、やっと瀑の上の磧に下りた。ものの二三丁の距離に一時間余を費して一行はもう腹が減った。
この磧をたどって猫又の頭に出る分には、もう大したことはない見込みの案内者の眼前に、又しても瀑の数丈が懸る。
これもえんやらやっと、横にかわして、再び滝の上に落著いた時は、予定どころか日は既に西に傾きかけた。もう白馬の小屋にたどりついている時分に、まだ猫又の頭さえが見つからない不安と焦燥。あれが猫の踊り場という平、こういう日あたりのいい日には、よく熊が昼寝しているから気をつけなさい、なんて呑気そうな話をする案内者の顔にも、一抹拭いきれない失敗の暗皺。
やっと猫又の頭によじて、遙かに祖母谷の白煙を瞰下した時は、暮色既に身辺に迫っていた。幸いとでもいうのか、久しい以前誰かが焚火した跡のそれらしい平を発見して、露天の露宿より外にもう手段も方法も無かった。
そこらの夜叉の木という生木を伐るのも、総て暗中の模索、何はともあれ、空腹を充たす味噌汁と米の炊き上った時は、ヤケな歓声も揚るのだった。