Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいはなあかいくき
白い花赤い茎
田中 貢太郎
Lesen Sie 白い花赤い茎 (しろいはなあかいくき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.634 Zeichen · 12 Bildschirme
で、そっと起きて、行灯の灯の点いている奥の障子の傍へ往って、紙の破れ目から中を覗いてみた。目のぎらぎら光る鬼婆が坐って、大きな口をして妹の手をびしゃびしゃと喫っていた。総領女はのけぞる程に驚いたが、知られては大変だと思ったので、そっと寝床へ戻って来て、弟をそろそろと起して其の耳に口をつけて囁いた。
「鬼婆がお母さんに化けて来て、今、妹を喫べてるから、逃げなくちゃならんが、ただ逃げては追っかけられるから、私が前へ便所へ往くようにして出て往って、彼処の三叉路の処で待っておる、お前も後から便所へ行くと云って出て来て、三叉路の処へお出で」
総領女はこう云って置いて、急に眼が覚めたような風をして、欠伸をしたり咳をしたりした後で、裏口の方へ往った。鬼婆のびしゃびしゃと口を云わす音はぴったり止んだ。
弟のほうも姉のやったようにして、起きあがろうとすると、鬼婆が云った。
「お前は何処へ往く」
「おしっこに往く」
「姉さんが戻るまで待つが好い」
「でも往きたいもの」
「其処へしたら好い」
「汚いじゃないか」
「そんなら早く往って姉さんといっしょに入って来るが好い」
弟は怖ごわ裏の方へ往ったが、入口を出ると、後も見ないで三叉路の方へ走った。