Japanische Klassiker mit Furigana
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つぶてしんじゅう
礫心中
野村 胡堂
Lesen Sie 礫心中 (つぶてしんじゅう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.190 Zeichen · 28 Bildschirme
お藤は翌る十三年三月日本橋の袂で舌噛み切って死んで了ったのでした。
妹のお豊は一つ違いの十八歳、姉に優る美しさと、辰巳っ子らしい気象を謳われましたが、役人の目を憚かって、寄り付く親類縁者も無いのに業を煮やし、柳橋から芸者になって出て、たった一人の病身の母親を養って居りました。
が、その母親も死んで了いました。
三七日を済ませたのは九月十三日、お豊は後の名月に誘われるように、フラフラと両国橋の上へさ迷い出でました。世界の果てまでも、此儘行って了い度いような、やるせない心持にさいなまれて居たのです。
両国の東西橋詰を賑わした、名物の水茶屋も取払われ、月見船はおろか、橋の上から、月を眺めて居るような、心に余裕のある人間さえ一人もありません。
「お豊、――お豊」
「あッ、要さん」
「此処だったのか、飛んだ心配をしたぜ、家へ行って見ると、行灯を灯けっ放しで空っぽだろう――お隣で聞くと、母親の三七日を済ませて、がっかり気を落したものか、物に憑かれたように、大川の方へフラフラと行って了ったと言うじゃ無いか」
要さんと言われた若い男は、欄干に寄って、お豊と肩を並べると、そっとその手を後ろへ廻しました。