Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「血は薄いものだ。同族たりとも、ひとたび憎みあえば他人以上憎しみあう。いや、いっそ他人なら笑いあえるが、根ッから新田足利の仲は、あっさりできぬ」
「よろこぶのは、近国の守護や鎌倉の府でございましょう。さもなければ、新田家とて、数代、このような御不遇ではおりますまいに」
「それよ。女性すら、そう思うか。新田ノ庄はわが家の祖が拓いたもの。北条殿の御代以来は、一田の領土も貰ってはいない」
「足利どのとて、おなじでございまする」
「が、まだ足利は、うまくやっている。祖先のうちには、北条殿と姻戚をむすび、官職なども、わが新田家を超えて来た。……それが落ち目になりだしたのは、先代足利家時が、自殺となったあの秘事からだが」
彼も尼も、急に壁でも見たように、押し黙った。家時自殺のはなしが不用意に出たからだった。が、義貞はすぐ語を変えて。
「尼御前。……まあ見ていやい。新田家とていつまで不遇ではおらぬ。義貞もまだ若うおざれば。はははは。……いや、そもじの願いはなるべくきいて上げよう。ただ、一族どもとの談合もあれば、明日まで待て。明日の朝まで」
おそい朝餉が供された。
しいられる歓待の辛さに耐えつつ、草心尼は心ならずも義貞と共に膳へ向った。