Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
が、道誉にとっては、ひと事のようである。冷然と、ただ横耳に聞いていた。
尋問は、箇条わけに、次々、問いただされてゆき、
第一に。……忍び上洛の目的は何なりしか。
第二。……献上犬への無礼。
第三。……前ノ大内記日野俊基朝臣と洛中にて密会をとげたるは、そも、いかなる存意の下にや。
と、たたみかけられた。
その間、高氏は、目をとじていたがとじている眼にも、道誉の顔がちらつき、努める理性も邪げられた。
「お答え申す。まず、忍び上洛との、お極めつけには、高氏、不服にござりまする」
「なに、不服とな」
「されば、去ぬる元亨の年、それがし、都へ出でたるには、相違ござりませねど、そは、前年の十一月、歳々の恒例にて、領下の御厨の貢物、伊勢神宮に運上したてまつるお使いにてまいった帰りを、都廻りして、立帰ったまでのこと。……何で、無断上洛にございましょうや」
「それや言い抜けぞ。伊勢より都へ廻るは、わざとにひとしい」
「いや、足利には、天皇領もおざる、それの御報じも兼ねおかねば、二度の旅費えをせねばなりませぬ」
「では次の条。――京の小酒屋において、あろうことか、御献上の紀州犬に、土足を食らわせしという一事は」