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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

もし、こんな状態が、諸州にひびいて、

「鎌倉の底力も知れたもの」

と、各地の守護、土豪などから、覇府の軍力を疑われだして来たら、それこそは、北条治下の一亀裂である。――というような煩いも、主脳部にはある。

ために、新田と足利の間も、ここは極力、事なきを策したのだろう。かねがね新田は、大番上洛を望んでいたので、彼には彼の好む花を持たせ、そして、幕府方針としては、一に朝廷のおうごきに、その焦点をしぼっていたのはいうまでもない。

こういう折に。

も少しただしくいえば、鳥合ヶ原の日から、約一ヵ月ほど後のことだった。高氏の一身上に、思いがけぬ内輪話が起っていた。

彼の結婚についてであった。

「――一国の御世嗣としては、お年としても、おそいほどです。わけて日頃から大殿には、あのようなお身弱さ」

伯父上杉憲房の、心からな説きすすめなのである。

「妻を、ですか」

意外そうなその表情は、無意識に出る青春の者の衒いにすぎまい。彼も日頃にそれを思わぬことはなかった。いや、欲しかった。母ならぬ、べつな女性は欲しかったのだ。

が、国元の足利といい、鎌倉の屋敷といい、その家庭には、どっちを見ても、今のところでは、そんな気にもなれない冬があった。