Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「……で、其許もまろの警固について来てくれたのか」
「は、兄のいいつけにて」
「要らぬことだ。戻るがいい」
「いやお見届け申さぬことには、後で……」
「では頼春、つきあうか」
「どちらまで」
「堀川のさる家よ。万珠、ちょっと、いつもの家へ立寄って、もう一献、婆娑羅と飲んで別れとしようぞ」
妓たちには、思うつぼにちがいなかったが。
「およろしいのですか。北ノ方さまに」
「よけいなことを」
「でも、蔵人さまの北ノおん方は、たいそうお美しゅうて、仲のよさ、人目も羨むほどなと、さきほども誰やらが、仰っしゃっておいでたではございませんか」
「さればこそ、夜を更かし、妓たちを見て戻る」
「なぜでございます」
「寝もやらず、待ちわびているわが妻が、またいちばい、美う見ゆるゆえ」
「まあ」――と仰山に。
「さアもう、かんにんならぬ。ぬけぬけと、そのお惚気、帰すことではございませぬぞえ」
君立ち川の紅燈や人影は、まだ宵のような柳がくれのそよめきだった。
供の船木頼春も、そこでは、したたか飲ませられた。それを、やっと切上げつけて、日野俊基を館まで送り届け、それから四条のわが屋敷へ帰って来たのは、もう夜明け近かった。