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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

「……直義、ちょっと、こなたへ」と眼でさしまねいて陣幕の内へ入って行く。ついて行くと、二つの床几を分けあって、兄は諭すが如く弟へ言った。

「怒るな。色になど出して」

「はっ」

「事はなかった。なかったのだ何事も。それならよかろう」

「よくはありません。ゆうべ道誉が文使いで、物々しゅう、今日の曠れの場でごあいさつ致さんと挑んできた騎射試合は、どうなったのです。よも、彼の誘きに乗ったわけではございますまいな」

「いや、わしは立合うつもりだった。彼は騎射の上手。高氏はここ両三年、とんと武技の修練には遠ざかっておるから、結果は、負けるだろうが……。負けたら、道誉の腹も癒えようし、笑わるるもまた、損ではなかろうと考えてな」

「恥をも、お覚悟で」

「そうだ」

「直義には推し量れぬこと。笑われるのが、何のお徳か」

「まア聞け。ともかく御厨ノ伝次に駒を曳かせ、人見新助に弓持たせて、龍ノ口木戸の奉行ノ簿に、試合の申し出でをせんとまいッてみると、果たして、道誉が先に待っておった」

「そして?」

「道誉が何といったと思う」

「わかりませぬなあ」

「わしを見ると、莞爾として一笑した。手をさし伸べて、わしの手を握り……、やあ高氏どの、本気で来たか、昨夜の文は、酔余の洒落文、筆遊びに認めたもの……。