Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
草もみじ
伯母の清子が、覚一に与えた餞別のうちには、その日課地蔵の一枚もあった。
草もみじ
草心尼と覚一の旅は、今日で十日をこえている。
京、鎌倉の間は、ふつう十三、四日とされているのに、ふたりはまだ、やっと東海道も半ばにあった。
「ともかくも、事なく、京へ着きさえすれば……」
覚一の杖の端を持って、おなじ足幅で彼女も歩いた。時には、馬の背も借りたり、足柄を越え、富士川天龍も渡って、その夕べ、豊川で宿をさがしていた。
「オ、寺がある。……お二た方には、ここでお待ち下されまいか。寺へ参って、宿を頼んでまいりますれば」
高氏の命で、ふたりに付いて来た足利家の侍、御厨ノ伝次は、ひとり駈けて、妙厳寺の門内へ入って行った。
ほかに、道中の供人は、もう二人いる。
上杉家の家来、今切藤五と羽鳥八郎太だった。
初めのほどは、この二人も、まめやかな良い従者であったが、主家を離れて遠い旅の空となるにつれ、また、盲と女の足のおそさにも、次第に倦んで来た態で、いまも母子の後ろに佇み、生欠伸をかみころしていた。
「や、お待たせしました」
伝次は、すぐ戻って来て、
「寺中には、宿貸す備えもあります由、いざどうぞ」