Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
よくそんな恐ろしい量見になれるなあ」
「主家にいればこその主筋よ。捨てる気になれば、あかの他人だ。それやあ、むかしは主従苦楽を共にし、君臣一如の義もあったそうだが、当節の主人は、わが身の栄耀のほか何知るものか。郎党は一生、稗食い郎党、厩掃除は一生涯、厩掃除」
「きさま、何か、主家に恨みでもいだいたのか」
「いや、鎌倉御家人、一般をいっているのだ。阿呆な主人が、ふた言めには、武士の道だの、忠節だのと、自分は持ちもせぬものを、家来には押しつける」
「待て。おれたちのお主上杉殿が、そんなお人とは、おれには思えぬが」
「分らぬ奴だな。上杉家や足利家がと、いつ言った。……しかしだ。武家全般の時風とあれば、上杉家だって、末始終にゃあ、ろくなことはありッこない。見切りをつけていい潮だ」
「それにしろ、恩をあだで返すようなまねは、どうかなあ」
「ちッ、恩のへちまのといっていたら、生涯、雑兵雑炊を食らって、厩馬同様に、飼われて終るまでのことだわ。世には愉しむ物があり余っているものをよ。たとえば……草心尼さ……見れば見るほど、肌のきれいさ。宿場の遊び女などは、見られなくなる」
「藤五。