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Japanische Klassiker mit Furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme

Aozora Bunko

きさまの野心は、あの尼前の色香だな」

「正直そうだ。しかし、尼前の肌にはなお、上杉、足利御両家から餞別された金も温もッているはずだし、またいッそ、脅し脅し、遠くへまで連れて行って、売り飛ばせば、その上の大金もつかめようというものだ。どうだ八郎太、ひと思いに、やろうじゃないか」

「……でも、供は二人だけではないぞ。もひとりの邪魔をどうする。御厨ノ伝次を」

「それや、かたづけるまでのこと、造作もない」

「足利家のうちでも、豪の者だと聞いているが」

「なあに、二人に一人。騙り討てば、のがすものか。あすの夜は、山中あたり、やるにはもって来いの泊りだ。……ただ、野郎にだって欲はあるはず、こっちの仕事に乗りゃあいいが、さておぬしはどうも小胆者だ。どっちにしろ、昼のまに、気どられるなよ」

ついつい一方は、いつか説きつけられた恰好である。

――物蔭にしゃがんでいた御厨ノ伝次は、這うように、そこの荼吉尼天堂の横を、す退り始めた。そして堂裏の遠くを廻り、なに食わぬ顔して、寝屋の房にもどって寝ていた。

やがて、二人もあとから、入って来た。湿ッぽい寝具の匂いを動かしたきりで、二ツの木枕もまたすぐ眠りについた様子。