Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
――来たナ、という直感は彼にあったし、ゆうべからの忿懣も、いちどに出た。
「なにっ、おれにも腕を貸さないかと、見損なうな。伝次は、畜生ではないぞ。盲のお子や尼御前を害めるような腕は持たぬ。儲け仕事とは何ンだ。山分けとは何ンだ。この外道めが」
それに対して、なおまだ、なにか口巧者に、説得しようとする八郎太に、多くもいわせず、いきなり機先を制して、伝次の方から抜き打ちを浴びせた一刀が、ぎゃッと、谺をよんだのだった。
八郎太は、ころがった。血に眩んだ。どこを斬られたかなど、自覚もない。
初めから、相手は豪の者とわかっていた。だから今切藤五も考えた。もし、うんといわぬ場合は、奴の背後から不意の一ト太刀をまず浴びせる、きさまも、間髪を入れず、相手の横を、抜き払え。――と話は出来ていたのである。が、八郎太はそれに頼りすぎてしまったのだ。
「藤五ッ。た、たすけろっ」
八郎太の叫びに、物蔭にいた今切藤五も狼狽はしたが、
「うぬっ」
もちろん、その加勢には、必死が賭かッた。
豪の者御厨ノ伝次にも、不覚が生じた。八郎太へ、追い太刀を振りかぶり過ぎたため、身をひるがえすに遅かったのだ。