Japanische Klassiker mit Furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Lesen Sie 私本太平記(一) (しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 246.214 Zeichen · 495 Bildschirme
「されば、輿論が先走って、九重の内のおしたくの方が、おくれがちだ。――しかし、きのう、おとといの南都行幸も事なくすみ、つづいて、叡山行幸の御予定なども終れば、まず一応、事は緒についたものと見てよかろう。さある上は、大みいつの下、一令天下を驚かす日も遠くはない」
法隆寺の塔をうしろに、この主従の遊山めいた足は、龍田から河内へ向っていたのだった。
それはいいが、とうに先に行ったはずの、さっきの山伏が、いつのまにか、主従の後になっていた。しかも、のこのこ後に尾いて来るのである。菊王の眼が、あるじの弁ノ殿に、叱……と注意したのを、敏くも後ろで知ったらしく、山伏は急に二人の背へ呼びかけて来た。
「もし。途上、まことに失礼なれど、それへおわたりあるは、前ノ蔵人、日野俊基朝臣ではおざりませぬか」
「いや、ちがう、ちがう。人違いだ。粗忽めさるな」
ぶあいそに菊王は、後ろの山伏へ、首を振ってみせた。
でもなお、執こく何か言いながら、馴々しげに寄って来る山伏なので、その厚顔しさを叱るように、また、
「こなたは、弁殿というて、絵所の絵師でおわせられる。御辺がいうお方ではない。